読書しなイカ?


今日の1冊。
山本兼一利休にたずねよ

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)


あまりの面白さに驚いた!!
この作品自体は、去年図書館で働いた時にちょうどやや前の新刊だったからかなり頻繁に目にして気になっていたけど結局読んでいなかったw
それが不思議と、最近文庫版が出て書店の新刊コーナーに並んでいるのを見ると急に読みたくなってすぐに借りてしまったw


利休というと秀吉、我が郷土の偉人野上弥生子さんの作品「秀吉と利休」も有名ですが、やはり二人の確執を書いた作品。
でも、この作品が面白くてテンポがいいのは、珍しい書き方にあり。1つの章が約10Pと短く、しかも章ごとに人物が変わってその人物の主観で書かれている。全部で400Pくらいあるから、40章くらいあるかも?w
そして特に面白いのが、少しずつ時間を遡りながら物語が進んでいるところ。
これだけ1章が短いのに少しずつ遡るっていうのが見事!
だから、最初の1章が利休の切腹の前日から始まって、3日前、1ヶ月前、数年前という感じに。
で、内容も切腹から始まり、秀吉との確執が進んでいく図を逆に書いているっていうのが新鮮。果てはその前の、信長の時代、利休がまだ若い自分とどんどん下っていき、一番最後のまだまだ若い頃にこの物語の一番大事なところを持ってくるというのが、秀逸すぎる!天才だ!
普通は過去と未来どっちにも戻りながら進めていくっていうのはよく見かけるけど、ひたすら進むごとに過去の話になるのに、面白いというのが驚き!!
あまりにも面白すぎて、2日で一気に読んでしまった。
これは、山本兼一さんの他の作品も凄く読みたくなる。また好きな作家が増えたかも?w
さすが直木賞受賞作はダテじゃあないなと思いましたよw



でも、これを見て利休像が変わったよw
先日も、浅田次郎さんの『マンチュリアン・リポート』を読んで、今まで関東軍から爆死させられるという名前でしか知らなかった張作霖が格好良い英雄に思えてきたしw
神部眞理子さんの『松籟』─狩野永徳伝─を読んで、名画は知っていたけど本人については何も知らなかった狩野永徳が身近に感じるようになったし、こういう歴史物の小説を読んでいくのもまた面白いですよね。
もちろん、伝記でなく創作だからそのままの印象を丸呑みするのは危険だと分かってはいますが、それでも日本史とかで名前を単語として暗記しているだけの人物のことが語れるくらいの存在になるっていうのは大きいですよね〜。